50歳男性が1カ月続く頭痛を主訴に初診されました。他院で片頭痛として治療を受けていましたが、改善しなかったとのこと。
当クリニックで頭部CT検査を行い、小脳に3cmの低吸収腫瘤を認め、転移性脳腫瘍が疑われました。原発巣としては、肺癌・胃癌・前立腺癌・腎癌などを疑うべきですが、数ヶ月前の健診で胸部単純X線を撮影したとのことでした。しかし、やはり転移性脳腫瘍の原発巣で最も多いのは肺癌であり、胸部X線検査をしたところ、左肺門部に腫瘤を認めました。続いて胸部CTで、左肺に4cm大の腫瘤がありました。肺癌が脳転移をきたした症例です。

■ 教訓
胸部X線では、心陰影や肺門に病変が隠れてしまう場合もよくあります。疑わしい症例は迷うことなく胸部CT検査が良いでしょう。